史上2番目の若さで優勝したオクラホマシティ・サンダーの強さとは

NBA 2024-25シーズンは、ファイナルズに進出したインディアナ・ペイサーズ vs オクラホマシティ・サンダーの第7戦に及ぶ激闘の末、見事サンダーが初優勝を果たしました。サンダーはシアトル・スーパーソニックス時代の2008年にオクラホマシティへ移転後、初優勝となります。(1979年にスーパーソニックスは優勝しています。)

さて、サンダーは平均年齢が25.6歳で1977年のポートランド・トレイルブレイザーズに次いで史上2番目に若い優勝チームとなりました。

サンダーの豊富な運動量を生かした硬いディフェンスはこの若さを象徴するものに思えました。経験が重要だと言われるプレイオフでこの若手中心のメンバーで優勝したことは本当に凄いことだと思いますし、来季の連覇やダイナスティーを築くことが十分あり得ますね。
ここではnba apiで取得できるデータから、サンダーの若さと強さの要因の関係を推察していきたいと思います。


平均年齢算出の定義は?

サンダーのファイナル時の平均年齢はNBA公式によると25.6歳とのことですが、どの時点でのロスターなのか、基準日はいつなのか、など算出方法の詳細が不明です・・・
Real GMよりサンダーのプレイオフロスターを取得し、平均年齢を計算してみます。

サンダーの2025年プレイオフロスター(年齢は6/1時点)
PlayerBirthAge
Alex CarusoFeb 28, 199431.26
Ousmane DiengMay 21, 200322.03
Luguentz DortApr 19, 199926.12
Shai Gilgeous-AlexanderJul 12, 199826.89
Isaiah HartensteinMay 5, 199827.07
Chet HolmgrenMay 1, 200223.09
Isaiah JoeJul 2, 199925.92
Dillon JonesOct 29, 200123.59
Ajay MitchellJun 25, 200222.93
Nikola TopicAug 10, 200519.81
Cason WallaceNov 7, 200321.57
Aaron WigginsJan 2, 199926.41
Jalen WilliamsApr 14, 200124.13
Jaylin WilliamsJun 29, 200222.92
Kenrich WilliamsDec 2, 199430.50
平均24.95

ご覧の通り、平均が24.95歳になってしまい、NBA公式の25.6歳と合いません・・・
試合に出てる選手だけに限定して、唯一プレイオフ未出場であった19歳のNikola Topicを抜いても、平均25.31歳となり25.6歳にはなりません。レギュラーシーズンロスターで計算したり、基準日を変えてみたりと色々と試してみたのですが、25.6歳になる集計定義を発見できなかったので今回は一番数値の近かった以下を集計定義としたいと思います。25.6歳になる算出方法お分かりの方はコメントでお知らせください、、、

  • プレイオフで一回でも出場した選手
  • 年齢算出の基準日は6/1

サンダーは他のチームと比較してどのくらい若いのか

サンダーのプレイオフロスターを年齢のヒストグラムで見てみます。平均は25.31歳です。


28歳以上が2人しかおらず31歳のアレックス・カルーソが最大値になっています。逆に22~23歳付近が5人を占めており視覚的にも大変若いチームであると確認できます。では、ファイナルで対戦したペイサーズ(IND)と比較してみましょう。


ペイサーズも平均26.87歳と比較的若いチームですので、OKCと若干似た構成になっていることが確認できます。平均値は極端な値に影響を受けやすいので、38歳のジェームス・ジョンソンの影響で平均年齢が上昇していると言えるでしょう。ただ、ジェームス・ジョンソンのプレイオフでの出場は5試合のみ。プレイタイムは平均3.6分で、いわゆるガベージタイムのみとなっています。もちろんオフコートの貢献等もあるとは思いますが、今回はコート上で試合の勝敗に影響を与えている選手に限定したいので、プレイオフで平均10分以上の選手に限定した上で、プレイオフに出場した全16チームの平均年齢を算出しました。

2025年プレイオフチーム別平均年齢(平均10分以上出場した選手に限定)

RANKTEAM AVERAGE_AGE  
1 Oklahoma City Thunder  25.82
2       Houston Rockets  25.89
3     Memphis Grizzlies  25.95
4            Miami Heat  26.35
5         Orlando Magic  26.56
6        Indiana Pacers  27.10
7   Cleveland Cavaliers  27.16
8       Detroit Pistons  27.70
9       New York Knicks  28.15
10        Denver Nuggets  28.37
11Minnesota Timberwolves  28.80
12 Golden State Warriors  29.58
13    Los Angeles Lakers  29.74
14       Milwaukee Bucks  29.77
15        Boston Celtics  30.59
16  Los Angeles Clippers  32.33


一番若いのが優勝したサンダー、最高平均年齢チームはレナード(34歳)、ハーデン(35歳)などベテランスター選手を中心に戦うクリッパーズとなりました。セルティックスもテイタムやブラウンなどの両エースはまだ20代ですが、ホリデー(35歳)やホーホード(39歳)などベテラン選手の影響で平均30歳越えとなってますね。

「若さ」がチームスタッツにもたらす影響とは

各チームの平均年齢とプレイオフのチームスタッツを散布図にしてみましょう。
プレイオフのチームスタッツは一番少なくてグリグリーズの4試合、最多でもサンダーの23試合でスモールサンプルでの比較にはなってしまいますが、一番最初に年齢との関係が思い浮かぶのは、試合展開の速さ(PACE)やミスの多さ(TOV)でしょうか。それぞれ散布図で見てみます。

まずはPACEです。

PACE(ペース) は、48分間あたりに両チームが合計で行うポゼッション(攻撃回数)の数を表す指標です。一見年齢が上がるほどペースが遅くなるという負の相関がありそうですが、相関係数は-0.42と相関があるとは言えません。(一般的には絶対値0.5未満は相関なしと考えます。)左下のロケッツ・ヒート・マジック・などは年齢は若く試合のペースは遅いチームですね。逆にペースが早い上位3チームはグリズリーズ・サンダー・ペイサーズとなっており全て比較的若いチームですね。

次にTOVです。

各試合の平均TOVとなっています。相関関係などは確認できませんでしたが、サンダーはPACEで上位2番目の速さにも関わらず、平均TOVは少ないチームから数えて4チーム目の数値です。強力なトランジションゲームをしつつミスを犯さない、サンダーの強さが現れていると言えるでしょう。
他にも色々と年齢とチームスタッツの関係をみてみましたが、明確な相関関係がある指標は確認できませんでした。

サンダーの「強さ」とは何か

サンダーは若いにも関わらずミスが少なく、非常に洗練されたバスケを展開しました。そこで、優勝後のカルーソの発言です。

カルーソは次のように語っています。

「優勝するには経験が必要だと言われることが多いが、“良いバスケットボールは良いバスケットボールであり、勝てるバスケットボールは勝てるバスケットボールだ”。何が起こっても、勝つために必要なことを遂行できるチームが最終的に勝つ。多くのチームは敗戦や失敗から学ぶが、この若手中心のチーム(サンダー)は、“成功から学び、成長する”ことができた。これは特別な才能だ。」

物事がうまくいかなかったときには反省し、そこから学びを得るのが一般的です。しかし、本当に重要なのは、うまくいっているときでも油断せず、そこから学びを続けることではないでしょうか。

そして、それができるサンダーのメンタリティこそ、スタッツには表れにくい「チームの強さ」の源なのかもしれません。


それでは今回はこの辺で!

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